■フィラリア症
フィラリアの別名は、犬糸状虫と言い、成虫はオスで体長9.5〜17cm、メスで13.5〜30.5cmと細長く、乳白色のそうめんのような形をしています。蚊が犬を吸血するときに寄生する寄生虫です。感染すると、成長しながら最短6ヶ月で心臓(肺動脈)に到達し、感染数や宿主(犬)の反応に応じて心臓病、呼吸器障害、腎臓病など、いろんな病気を引き起こしてしまう恐ろしい病気です。
犬:5〜12月 フィラリア予防シーズン 4〜6月 狂犬病予防接種
ワクチン接種 1年に1回(初回は2〜3回ワクチン接種必要)
ノミ・ダニ予防(とくに春4〜6月 秋9〜11月に多い)
慢性犬糸状虫症
大静脈症候群(Caval Syndrome)
フィラリアは、毎年予防をしっかり行えば100%防げる病気です。
当院でのフィラリア予防
★飲み薬で予防:
★注射で予防: |
■子宮蓄膿症
細菌感染によって子宮に膿(ウミ)がたまる病気です。高齢で出産歴のないメスのワンちゃんがかかりやすく、重症化すると命に関わってくることも。お水をよく飲み(多飲多尿)、陰部から膿がでていたら要注意。超音波検査による早期発見をお奨めします。
超音波診断装置(ALOKA社製) 膿みがたまった子宮
■内視鏡検査および治療
口からは胃や十二指腸の病変部(胃がんや炎症性腸疾患など)、肛門からは大腸の病変部(ポリープなど)を採取して組織検査を行います。ただワンちゃんネコちゃんで圧倒的に多いのが異物(おもちゃ、針、竹串、ビニールひも・ゴム製品など)の除去です。遅れると手術になったり命に関わることもあるので、異物を飲んだ疑いのある子は早めの受診をお奨めします。
内視鏡(ハイビジョン) 縫い針 ピアス
■角膜潰瘍
角膜に傷がつく眼の病気です。悪化すると角膜に穴(角膜穿孔)があき失明の原因になります。
内科療法(主に点眼薬)で治らない難治性または深層性角膜潰瘍に進行してしまったら
当院は手術顕微鏡(LED)を使用した茎状結膜皮弁術を行っております。
●角膜破裂(穿孔)を起こしたペキニーズ 4歳♂
角膜縫合および茎状結膜皮弁術 術後3日目 術後4ヶ月
■椎間板ヘルニア(腰および首)
胸腰部椎間板ヘルニアは、突然後ろ足がおぼつかなくなり、歩けなくなる病気です。
頸部椎間板ヘルニアは上を向けないなど首の痛みが特徴的で、重症化すると全ての足が麻痺します。ダックスフンドやビーグルに多く発生します。
治療は症状が軽ければ内科療法を行い、ひどい場合は外科手術をします。当院では脊髄を圧迫している椎間板物質を手術顕微鏡により取り除くため、手術侵襲も小さくワンちゃんへの負担も軽くなります。
■会陰ヘルニア
肛門のまわりが膨らんだようにみえ、肛門周囲(会陰部)へお腹の中の組織がとびだす病気です。去勢していないワンちゃんに多く発生します。症状は、排便困難が多く痛がります。重症化すると尿が出なくなり命に関わることも(膀胱脱出)。治療は、手術が必要です。ただし一般的な術式では再発が起こりやすくなります。そのため当院での治療は、閉鎖孔(骨盤にあいている穴)を通したポリプロピレンメッシュ(組織反応がほとんどない材料)により、うすくなった骨盤隔膜を左右ともふさぐ手術(PPメッシュ法)と伸びた直腸を縫い縮める術式を同時に行っています。
PPメッシュ法 術後
■去勢・避妊
去勢・避妊手術は生後5ヶ月目くらいから可能です。
去勢のメリットは、ストレスが軽減する。予防できる病気として、精巣腫瘍、前立腺肥大、前立腺炎、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫などがあります。
避妊のメリットは、卵巣の病気、子宮蓄膿症の予防、乳腺腫瘍の発生率が低下します(初回発情前がより効果的です)
去勢避妊のデメリットは、太りやすくなります。